犬のしつけに頭を悩ませていませんか?毎日のトレーニングに時間をかけても、思うように進まず、時には「本当にこの方法でいいのだろうか?」と疑問を持つことはありませんか?
実は、しつけの基本を見直すことが、このジレンマの解決の鍵となる場合が多いです。
何故ならば、しつけの成功は、信頼関係と主従関係の構築にあり、基本をおろそかにしては成果は得られないからです。
私は、小型犬から大型犬まで様々な犬種のしつけを行ってきました。
しつけとトレーニングの基本的な違いを理解し、正しい褒め方やご褒美のあげ方、適切な叱り方を学ぶことが、犬とのより良い関係を築く上で非常に重要であると常に感じています。
この記事では、しつけの成功へ導く基本的なステップを詳しく解説しています。
- しつけの基本概念
- しつけとトレーニングの違い
- 犬とのコミュニケーション方法
- しつけのポイント
- 褒め方・叱り方
この記事を読むと、しつけに関する基礎知識が身につき、より効果的なトレーニング方法を見つけ出すことができるようになるでしょう。
犬のしつけやトレーニングで一番大切なことは、心からの絆を築くこと。信頼関係を築くこと。愛犬との関係は、単なる指示と服従の関係ではなく、お互いの心を通わせる深いつながりが必要です。
愛犬が飼い主を心から信じ、飼い主が愛犬を心から尊重することで、お互いの理解は深まり、しつけやトレーニングは自然と成功へと導かれます。
愛情を込めた接し方こそが、犬のしつけを成功させる鍵です。愛犬が自分を守ってくれる存在と感じてもらえるようたっぷりと愛情を注ぎ、信頼関係を築きましょう。
犬は本能的に群れを形成し、その中で生活する動物です。
まずは愛犬に大事な群れの一員であることを認識してもらう必要があります。
そのためには家庭内で、
- いつもいっしょにいること
- できるだけ長くいっしょにいること
優しく話しかけ、落ち着きのある態度で適度な距離を保ちながら接するようにしましょう。同じ空間の中で愛犬が落ち着いているようだったら、群れの一員として迎えてもらっている証拠です。
焦らず、犬から距離を縮めてくれる事を待ちましょう。
また、しつけやトレーニングは、犬を単に従順にするためのものではなく、犬と私たちとの間に信頼と理解を深め、共に成長していくための大切なプロセスです。
犬に人間の社会のルールを教えることは、私たちがリーダーとして認められるための一歩となります。愛犬が安心感のあるリーダーと思ってもらえるような、主従関係を作りましょう。
リーダーとして認められるためには、犬との効果的なコミュニケーションが必要です。犬とコミュニケーションを取るには、言葉だけでなく、身振り手振り、表情、声のトーンなど、非言語的な要素も大切になります。
犬はこれらのサインを通じて、飼い主の意図や感情を敏感に察知します。そのため、飼い主は自分の態度や行動を通じて、安定感と信頼性を犬に伝えることが重要です。
好きな人じゃないと言うこと聞きたくない><
犬のことを知り、適切なコミュニケーションを取れるようになりましょう。
犬は言葉が話せない代わりに様々な手段で感情を表現します。
犬の感情表現方法を理解すると、犬は感情表現がとっても豊かなことがわかります。
犬はどうやって感情を伝えるか理解することが愛犬コミュニケーションの第一歩となります。
- 目 犬にとって目線やアイコンタクトはとても重要です。時には飼い主の信頼を表したり、目で威嚇したりなど様々な情報を伝えます。
- 口 閉じていたり、少し開いたり
- 耳 ピンと立てたり、ペタッと倒したり、さまざまな動きをして情報を伝えます。
- 鼻 鼻をツンツンしたり、鼻にシワを寄せたりします。
- 尻尾 尻尾の振り方、速度、上がっているか下がっているかなどで犬の気持ちがわかります。
- 鳴き声 声の高さ低さ、ワンワンやクーン、キャンキャンなど様々な鳴き方があり、気持ちを知る手掛かりになります。
- 体勢 体を低くしたり、固まっていたり、大きく見せたり
こういった犬が行う仕草の事をカーミングシグナルと言ったりもします。
カーミングシグナルや、犬が行うリアクションなどは別記事でまとめます。
犬は群れで生きる動物。群れの中でのコミュニケーションは大好きです。
特に犬にとって好きな事をしてあげればさらに絆は深まります。
犬にとって好きな事といえば
- 褒められること
- 優しく声をかけてくれること
- スキンシップ
- 遊んでくれること
愛犬の様子をよく観察し、愛犬が喜んでいることをしてあげましょう。
犬は基本社交的な動物であり、飼い主の愛情や注目を受けることを非常に喜びます。
褒め言葉をかけられることや、優しい声で話しかけられることは、犬にとって大きな喜びであり、安心感と信頼感を持ってもらうことができます。
愛犬が喜んでいればそれが一番です。たくさん愛情をもって接しましょう。
ボールの引っ張りっこが大好き。
しつけは、主に犬が社会的に受け入れられる行動を身につけることです。一方、トレーニングは、犬に特定の技能やコマンドを教えることです。
しつけによって犬は良いマナーを学び、トレーニングによって特定の行動を学びます。両者を組み合わせることで、犬はより良いペットとしての生活が可能になります。
しつけは、日常生活で遵守すべき基本的なマナーやルールを教えるプロセスになります。例えば、家の中でのトイレの場所、食事のマナー、来客時の振る舞いなどがあります。これらは共同生活を円滑にし、社会的に受け入れられる行動を促すために不可欠です。
しつけの過程では、愛犬との信頼関係を築くことが最も重要になります。安心感を持ってルールを守ることができるように、愛情と一貫性を持って接しましょう。飼い犬がルールを守った時は、言葉や体でしっかりと褒めてあげてください。
一方でトレーニングは、愛犬に特定のスキルやコマンドを教え込む過程になります。
例えば、「アイコンタクト」や「座れ」や「待て」、「フセ」などの基本的なコマンドから、おもちゃをキャッチするなどの特技まで、様々な技能を身につけさせることが目的になります。
トレーニングでは、遊びを通じて学習することが多いです。フリスビーをキャッチするトレーニングでは、楽しみながら身体を動かし、同時に「持って来い」のコマンドを自然と覚えさせることができたりあします。このプロセスは愛犬にとって、とっても楽しい時間であり、飼い主との関係をより深める機会にもなります。
このようにしつけとトレーニングは、目的とアプローチが異なりますが、どちらも愛犬との豊かな関係を築く上で欠かせないものです。しつけによって愛犬は安心して生活できるようになり、トレーニングを通じて飼い主との絆はより一層強まります。
信頼関係や主従関係も深まります。
そして、しつけとトレーニングを通じて、飼い主自身も多くのことを学び、成長することができると思います。
また、しつけやトレーニング解決できないこともあります。
本能的な行動や、犬種ごとの特徴など、その犬が持つ個性に関わる問題行動をゼロにするのは難しい場合もあります。
愛犬に合わせた適切なしつけ・トレーニングを行うようにしましょう。
しつけやトレーニングで大事なポイントとして、
- 犬が理解できるように的確に指示をすること。
- 良い事、悪い事を犬がわかるように伝える。
- しつけやトレーニングは時間がかかる事を知る。
- 状況によって今までできていたことができなくなってしまう。
- 叱るより褒めてあげよう。
があります。
犬に伝わるよう的確に指示する必要があります。指示の仕方としては、言葉やジェスチャー、態度など様々あります。
犬は人間の2歳から3歳児程度の知能を持っていると言われ、200語程度は理解できるという研究もあるそうです。とはいえ、話し言葉から理解することは難しく、単語単語で伝える必要があります。
長い単語は苦手で、なるべく短い言葉にしましょう。
また、家族で飼っている場合、単語統一する必要もあります。こっちに来てという指示をする場合、「おいで」「こい」「カム」など複数の単語があります。ハンドジェスチャーに関しても同じで、おすわりの場合のハンドジェスチャー、フセの場合のハンドジェスチャーも統一するようにしましょう。
また、指示を出す時の態度とタイミングも重要です。もしどうしても叱る必要がある場合、〜ちゃんそんなことしちゃダメよーとナヨナヨした態度で叱ったとしてもそれは愛犬には伝わりません。毅然とした態度も時には必要な要素となります。
犬は、人間社会にとって、何が良いことなのか、何が悪いことなのか、理解していません。1から教えてあげる必要があります。
いい事は何か?悪いことは何か?を教える方法はずばり、いいことをしたら犬が嬉しい事が起きる。悪いことをしたら犬にとって嬉しくないことが起きる。という事を教えます。
犬は自分にとって得な事が起きたのか、損な事が起きたのかを把握します。直近の行動の結果得な事が起きた。嬉しい事が起きたとしたら、またその行動をします。逆に、損な事が起きた。嫌な事が起きたとしたら、その行動をしなくなります。
では犬にとって嬉しい事とはなんでしょうか?
犬にとって嬉しいことは
- 褒められること。
- おやつやご褒美をもらえること
- 何より飼い主が嬉しそうに楽しそうにしていること。
逆に犬にとって良くない事。嬉しくないことは、
- 飼い主に無視される
- 飼い主に叱られる。
- 飼い主が厳しい顔をしている。悲しそうにしている
犬は、飼い主さんの嬉しい、楽しいなどのポジティブな感情から発せられる高めの声のトーンに安心を感じます。褒めてあげる時は大袈裟なくらいに明るく楽しそうに体全体で褒めてあげてください。
逆に、悪い事を教える時は、犬にとって良くない事をすることになりますが、注意が必要です。
ネガティブな感情の低いトーンの声には不安や警戒心などのストレスを感じることがあります。そのため、どうしても必要な時には叱ることも必要ですが、なるべく叱らない状況を作ったり、気を逸らすなどをして、叱らなくても良い環境を作るようにしましょう。
また、どうしても叱らなければならない時は、毅然とした態度で叱る事が大切です。
犬は、飼い主の声のトーンを聞き分け、嬉しいのか、怒っているのか、悲しいのかを聞き分けています。
的確な指示をする項でもお話ししましたが、犬が悪いことをしたときに「こーらっ、だめだよ」と優しく言ったところで、犬は何を言われたのかサッパリ理解することができません。
叱りすぎにも注意です。
怖がらせたり(威圧的な態度)、嫌なことをされてしまうとしつけやトレーニングが嫌になってしまうし、そもそも飼い主の事を嫌いになってしまう。
そうなってしまっては今後のしつけ・トレーニングや日々の生活にも悪影響を及ぼしてしまいます。
良い事が起きると、うれしくてまた言う事聞きたくなるよ
しつけやトレーニングで、褒めて育てるのか、叱って育てるのか悩む事があるかもしれません。そんな時は自分に置き換えてみると良いかもしれません。叱られるよりも、褒められた方が嬉しいと思います。
犬は群れで生きる動物。群れのリーダーに褒められたりご褒美をもらえたりすれば、とても喜んでもらえます。もっと褒めて欲しいと思います。
群れのリーダーに叱られてしまったらとても悲しい事です。
叱ることにも場合によっては必要です。しかし、叱ることが過度になると、犬は恐怖や不安を感じ、飼い主への信頼を失う可能性があります。
また、犬が何故叱られているのか理解できない場合、問題行動を改善するどころか、状況をさらに悪化させることもあります。叱ることで一時的に問題行動が止まるかもしれませんが、根本的な解決にはならない場合もあり、犬との信頼関係を損ねるリスクがあります。
どうしても必要な時に、叱ることは大事ですが、なるべく褒めてあげるようにしましょう。
ご褒美もっと欲しいなー
犬のしつけやトレーニングには個体差があり、すぐに結果が出る子もいれば、時間がかかる子もいます。時には、「うちの犬はなかなか覚えが悪い」と感じることもあるかもしれません。
しかし、果たして本当にそれだけでしょうか?
私は長年にわたって、愛犬のしつけに悩んできました。飛びつきに、他人に対しての吠えや犬への威嚇など、たくさんの問題を抱えていた時期があり、悩みの種でした。
ある時ペット訓練士の方に愛犬を見てもらう時があり、その人と家庭内の状況や散歩を見てもらった所、すぐに悪い所を見抜いてもらい、たちまち改善する事がありました。
その時に指摘してもらった事が、主従関係が取れておらず、愛犬に自分の事をリーダーと認めてもらえていないという事でした。
そこからは主従関係を構築するよう、アイコンタクトや散歩の主導権を握ったり努力をしましたが、なかなか思うようにうまくいくことはありませんでした。訓練士の方にリードを任せるとすぐにアイコンタクトを取れるようになるのですが、私ではうまくいかない。
そこで気がついたことはしつけやトレーニングで時間がかかるのは、飼い主自身のスキル不足であるということ。
愛情を沢山注いでいたつもりだったのですが、愛犬への伝え方が間違えていたという事でした。
また、声かけや褒め方も重要で、散歩中全然声をかけておらず、また褒めるタイミングも下手でした。
初めからしつけ・トレーニングはうまくいきません。
飼い主自身のしつけ・トレーニングが重要だという事を知り、愛犬の事を一番に考え行動するようにしましょう。
僕もがんばるよ
室内ではお座りは完璧なのに、外ではできなくなってしまう。普通に散歩をしている時はアイコンタクトできるのに、他の犬の前ではできなくなってしまう。
知らない人がいたり、知らない場所だったり、犬にとって安定していた状況と違う状況になった場合、今までできていた事ができなくなってしまう場合があります。
自分のことでいっぱいになってしまい、声が届かなくなってしまったり、飼い主の事を守ろとう必死になってしまったりする。様々な状況下において普段できる事が、できなくなってしまう場合があります。
原因は様々で、不安であったり、興奮していたり、パニック状態であったり。
このような状況になってしまった場合はコマンドは受け付けません。落ち着くまで待つしかありません。
下手に、ダメと叱ったとしても逆効果になる場合があります。
度合いにもよりますが、落ち着くまで待ちましょう。
もし、気をそらせられるほどの度合いであれば、アイコンタクトやオスワリなど、普段完璧にできる事をさせてみても良いかもしれません。
対処としては
- そもそもそういう状況になりそうな場合を回避する。
- 落ち着くまで待ってあげる。
- 主従関係を構築する。
主従関係を作っていれば、飼い主さんを頼ってくれるので落ち着いてくれることもありますが、個体や性格、年齢などで難しい場合もあります。そんな時は落ち着くまでひたすら待ってあげてください。
お家など落ち着く場所で主従関係を強化しましょう。
僕は大きな通りだとパニックになっちゃう。知らない人も怖い><
犬のしつけやトレーニングにおいて、効果的な褒め方とご褒美のあげ方は、愛犬の学習プロセスにおいて非常に重要です。嬉しい事が起きると、望ましい行動を繰り返す大きな動機となります。
褒め方のポイントとして
- タイミングの重要性
- 褒め言葉を統一する
- 褒め方の工夫
- 特別なご褒美を用意する
などがあります。
犬にとって、行動と報酬の間のタイミングが非常に重要です。犬が望ましい行動をした直後に褒めたり、ご褒美を与えることで、その行動が良いことであると犬が理解しやすくなります。適切なタイミングで褒めることが、犬の学習効率を高める鍵となります。
犬がどの行動を褒められているのかを明確にするために、褒め言葉を統一することも効果的です。例えば、「いい子!」や「上手!」など、特定の行動に対して一貫した褒め言葉を使い続けることで、犬はその言葉を聞くだけで自分が何をしたら良いのかを学びます。
犬を褒める際には、熱意を込めてたっぷりと褒めましょう。犬は飼い主の声のトーンや表情からも多くを感じ取りますので、喜んでいることが伝わるように、明るい声で「いい子だね!」と言ったり、大げさに褒めたりすることが効果的です。これにより、犬は自分がした行動がとても良いことだったと実感できます。
普段あげているおやつではなく、しつけ・トレーニングでできた時にもらえる特別なご褒美を用意しても良いかもしれません。しつけやトレーニングのモチベーションに繋がります。
しかし、おやつのあげ過ぎにも注意です。
トレーニングが進んで基本的なコマンドを覚えたら、ランダムでご褒美をあげるようにしましょう。褒めることは忘れずに
褒められるの大好き
前述しましたが、叱るよりも褒める事が大事です。叱る前に、犬の特性を理解し、なぜ問題行動をしてしまったのか?その原因を取り除く事はできないかを考え、飼い主が行動してあげるようにしましょう。しかし、時には叱る必要がある時もあります。叱り方でNGなパターンと適切な叱り方をご紹介いたします。
叱る時の注意点として
- 怒ることはNG
- 体罰はNG
- 叱りすぎは注意
があります。
人間関係でもそうですが、叱ると怒るは全く違います。怒るは、感情的になり他者に自身の怒りやイライラをぶつけるもの。叱るは、相手のために注意をしたりするもの。
感情的になってしまってはいけません。
犬を叩いたりする行動は、しつけにつながりづらく、恐怖心を与え信頼関係を損ねる事になります。体罰をするフリも同じ事です。絶対にやめましょう。叱るより褒めるよう心がけ、どうしても必要な時に叱るようにしましょう。叱る事で信頼関係が崩れてしまったり、トラウマになってしまったりすることもあります。
適切な叱り方としては
- 短い言葉で叱る
- 適切なタイミングで叱る
- 毅然とした態度で叱る
- 無視する
褒め方の項でも書きましたが、犬が理解できるように短い言葉を使うようにしましょう。「ノー」や「ダメ!」などがよく使われるかと思います。また、言葉は統一するようにしましょう。
叱るタイミングも重要です。その行動が悪い事だとわかるタイミングで叱りましょう。
時には無視をする事で、悪い行為だと伝えることもできます。無視する時は話しかけず、触らず、目を合わせないようにしましょう。その場にいる全員で行うようにしてください。
また、叱る時は毅然とした態度で叱りましょう。犬が怒っている時のような唸り声と同じ高さにしてあげると伝わりやすいです。
叱られると悲しい。叱られるより褒められたい
本記事では
- しつけの基本概念
- しつけとトレーニングの違い
- 犬とのコミュニケーション方法
- しつけのポイント
- 褒め方・叱り方
についてまとめていきました。本記事の中で、一番大事な事は信頼関係と主従関係を構築する事かと思います。
しつけ・トレーニングだけでなく愛犬との生活の中で最も大事なことになりますので、適切な関係を作るよう意識をしてください。
基本を知った上で、一番初めに行っていきたい事はアイキャッチかと思います。アイキャッチは信頼関係や主従関係ができている証でもあり、さらに絆を深める事ができるためです。アイキャッチの具体的な方法については別途記事をまとめたいと思いますので、そちらも見てください。